「あ、どーも」
わたしが言葉を発するより早く、先生はまごつきながらそう言った。
「…っあははー、また来てくれたんだー。うれしー!」
自分でも笑ってしまうくらいの、精一杯の明るく高い声を出した。
大丈夫。落ち着いていれば、バレやしない。
わたしは先生のとなり座った。
「しかも今回はひとりで来て、指名だなんて。急でびっくりしちゃった」
「すいません、ごめいわくでした?」
大迷惑です、なんて言えるわけない。
「そんなことないよ、嬉しいって言ったじゃん。あ、焼酎とウィスキー、どっちがいいですか?」
「あ、じゃあ、焼酎薄めで」
「はーい」
お酒を作りながらも、わたしはまだハラハラしていた。
こういう真面目な人の考えることは、本当にわからない。
「はい、どうぞ」
言われたとおり薄めに作った焼酎の水割りを、わたしは差し出す。
「ありがとう」
先生はひとくちだけ口をつけた。
いったい何を話しに来たのだろうか。
わたしが黙っていると、やがて先生は喋りだした。
「この前はありがとうございました」
「そんな、ぜんぜんたいしたこと言ってないし」
「いえ、おかげでちゃんと翌日仕事をこなすことができました。俺、緊張すると失敗ばかりで、まともに喋れないことすらあるんですよ」
いや、たしかにこなせたかもしれないけど、決してわたしにお礼を言うほどいい状況ではないだろう。
わたしが言葉を発するより早く、先生はまごつきながらそう言った。
「…っあははー、また来てくれたんだー。うれしー!」
自分でも笑ってしまうくらいの、精一杯の明るく高い声を出した。
大丈夫。落ち着いていれば、バレやしない。
わたしは先生のとなり座った。
「しかも今回はひとりで来て、指名だなんて。急でびっくりしちゃった」
「すいません、ごめいわくでした?」
大迷惑です、なんて言えるわけない。
「そんなことないよ、嬉しいって言ったじゃん。あ、焼酎とウィスキー、どっちがいいですか?」
「あ、じゃあ、焼酎薄めで」
「はーい」
お酒を作りながらも、わたしはまだハラハラしていた。
こういう真面目な人の考えることは、本当にわからない。
「はい、どうぞ」
言われたとおり薄めに作った焼酎の水割りを、わたしは差し出す。
「ありがとう」
先生はひとくちだけ口をつけた。
いったい何を話しに来たのだろうか。
わたしが黙っていると、やがて先生は喋りだした。
「この前はありがとうございました」
「そんな、ぜんぜんたいしたこと言ってないし」
「いえ、おかげでちゃんと翌日仕事をこなすことができました。俺、緊張すると失敗ばかりで、まともに喋れないことすらあるんですよ」
いや、たしかにこなせたかもしれないけど、決してわたしにお礼を言うほどいい状況ではないだろう。
