新学期が始まり、2週間が過ぎた。
「じゃあ、みなさん、今日も一日がんばりましょう」
ホームルームを締め括る担任の言葉に、生徒らの返事はない。
もちろんわたしも、黙りこくって窓の外なんかをながめている。
正直生徒たちにとって、この先生のウケはあまり良くはなかった。
原因は、去年までの担任が、好かれすぎていたことにあると思う。
このクラスを1、2年のときに担任していた教師は、だいぶベテランのおじいちゃん先生で、明るくて、けれどとてもしっかりした人だった。
本当は今年もその先生が受け持つはずだったのだけれど、昨年度の3学期に腰を悪くしてしまい、その年をもって定年退職したのだ。
そして代わりの新しい担任をこんなまだ教職について間もないような若い先生にするなんて、学校側もバカだよなぁ、と思う。
さらにこの先生、キャバクラでみた通りの性格で、基本は真面目だけど、自身の間違えや生徒のちょっとした言動におどおどしたりするのだ。
これじゃ受け入れられないのも無理はない。
先生が出ていき、わたしははぁ、と小さくため息をついた。