「どうしたの?

 この曲一美の十八番でしょ?」

「今日は調子出ないなぁ」

 明るく言う一美の顔色は良さそうだけど……


「具合わるいの?」

「柚朱~、アンタのメンテナンスが先でしょ?」

「私の?」

 メンテナンスって?

 いつの間にか次の曲が流れ始めてる。


「このままじゃ、前にも進めないよ?」

「……」

 もう、十分だよ。


「アンタが一方的に話を進めて勝手にドツボにはまって、そんなの見ていられないから」

「……」

「ケリつけるよ」

「ケリ?」

 一美の考えが読めないよ。


「そう、先輩の言葉まだ聞いてないんでしょ?」

「聞かなくていいよ」

「ダ~メ」

 いたずらっ子&お節介モード全快の笑顔になっている。

 私は、頑張ったもの。

 先輩の言葉を聞いてしまって、『迷惑』とか言われちゃったら、きっと、もう学校にこれなくなる。

 だったら、聞かなくていいのに。