「……そんな大事な日なら…戻ってください」 暫くして漸く彼女が口を開いた。 「戻らないよ」 決めたんだ 「ダメです。誕生日は特別なんですよ」 「……」 俺にとっては君がこの腕の中から消えて仕舞う事のほうが、問題なんだ。 「私なら平気です」 彼女の背中から強がる感じがヒシヒシと伝わってくる。 どうして? どうして、いつも一人で抱え込もうとするの? 周りからの視線が飛んできているにも気が付かず、ずっと彼女を抱き締め続けている。 ・