これで、心置きなく卒業できる。

 一人観照にひたっていると――


 「忘れてました!!」


 柚朱ちゃんはいきなり大きな声をあげ、俺から離れた。


 「何?」

 「惺先輩、卒業おめでとうございます♪」


 そういえば、まだ言われていなかったっけ?

 「あ、ありがとう」


 今日、色々な人に言われた中で

 一番嬉しい。


 嬉しさのあまりさっき以上に柚朱ちゃんを強く抱き締め、そのままの姿勢で彼女に告げる。