「ごめん……今だけ。1分でいい…このままでいさせてくれ」

 「……」

 「来てくれてありがとう、初め柚朱が屋上に来た時俺を選んでくれたのかと思った…けど、お前の言いたい事も直ぐに分かった。」


 彼の思いを強く感じ居た堪れない気持ちに


 「ケンくんの気持ちは嬉しいよ……けど、ごめんね」

 「謝るなよ……困らせたのは俺なんだし…けど俺、柚朱を諦めたわけじゃないから」


 うん、今は答える事はできないけれど嬉しいよ。


 「……」

 「惺先輩に泣かされる様な事があったら…いつでも俺の所に来い、てかそん時は奪ってやるからな」

 
 こんなにも頼もしい人が、こんなにも近くにいたんだね?


 「……」

 「俺……友達としてまで嫌われたくねぇしな」


 ケンくんは腕を離し少し悲し気な笑顔を私に向ける。


 「ケンくん…」

 「ほら、早く行かねぇと俺の理性……もたねぇぞ」


 ――ありがとう

 心の中で呟き教室へ駆け戻る。