「あれ? 今日何かあるの?」 先に朝食を食べていたおねえちゃんがもの珍しげに私を見てくる。 「卒業式だよ」 「卒業式? アンタ、見送りでしょ? 何でそんなにお洒落してんのよ?」 「別に、普通だよ」 「ふ~ん」 お姉ちゃんは、意味ありげな顔で上から下へ視線をゆっくり移す。 「な、何よ」 「別に~」 「柚樹、柚朱、お喋りはそのくらいにして 二人とも遅れるわよ?」 「「は~い」」 朝、筒井家はこうしたバタバタから始まる。 ・