恋をすると、
その恋にピッタリの歌を探す。


そしてその恋が去った後、その歌を聞きながら、
恋の余韻にひたるの。


それが好きだった。


まるで、ドラマや映画のヒロインの様に、ウォークマンから恋の主題歌を流しながら街を闊歩する。


それが好きだった。


あたしは、長い間、
恋に恋をしていた。


誰かを好きだったわけじゃない。

恋に恋をしていただけ。


本当に恋をして、
誰かを愛したら、
今存在する歌じゃ、
心が満足しない。


愛する人とだったら、
どんな場所も、時間も、
言葉も、すべてが泣けちゃうほど愛おしい歌になる。



生田 孝。
あたしの愛した人。


ねぇ、孝。
また、夏が来るよ。
あなたと出会った夏。

でも、今年の夏にはあなたがいないね。



わがままなあたしへの罰。


ねぇ、孝。
あたしに沢山の幸せ、
ありがとう。



あなたに出会えた事が、
神様があたしにきいてくれた、最後のわがまま。