潤也はゆっくり、深呼吸をしている。
私は、自分のペースで歩いていた。

少し、距離ができた。
とその時。

潤也が、急に立ち止まった。


なに?

屈んでいる。なにか、拾って様子だ。
先に少し、進んでいた私は、振り返りその場で立ち止まった。

潤也が紙切れをヒラヒラさせている。

「葉子さん。なんか、落ちたよ。紙切れ?」

おもむろに、拡げた。

えっっ。まさか。

ヤ・バ・イ。。。。。。。。
それ。

ちょっと待って。


私、あわてて、取り返そうとしたが、足が縺れて上手く走れない。

『絶対見ちゃだめ!!!!!!』

って声を出してみたけど。時すでに遅し。

あぁ~。最悪。ため息より落胆。

これで、大人の女性の立場全然ないね。
かっこいい女。演じてたけど、台無しだよ。
カッコ悪い。

潤也。次の瞬間発した言葉。


「お金ほしいの?」

ニコニコしている。


ええ。
そりゃ。
ほしいですとも。

声を大にして言いたいほど。

いや。

喉から両手いっぱい広げるほど。

・・・・・ほしいです。

でも。

こうなったら。
やけくそで・・・。

『お金くれるの?』

しかも、一応人並みのプライドあるはずだったんですけど。

でも、口から出た言葉は・・・。


・・・・・私の本心。