「は…なし…て………」 「椎名…?」 ドクン 止めてよ。 あたしを見ないで…… あたしはやっとの事で立ち上がって 走り出した。 「椎名…っ!!」 何これ 何これ 何これ…………っ 触れられた瞬間 あたしがあたしじゃないみたいだった。 捕まえてくれた腕も 抱えられた体も 顔を埋めた髪も 湯川の匂いも 湯川の安堵の吐息さえも… 全部に胸が締め付けられる。 何…これ……!? こんなの 知らない―――…