僕らは滋賀の大津駅の近くに宿をとった。 とにかく、殿をお風呂に入らせて、マキから殿に変身してもらう。 「タケル」 殿のよく通る声がして、僕はラップトップから顔を上げた。 「ここから三井は近いのか?」 僕は画面に目を移して、近い、と答えた。 「では、さっそく行きたいのだが。」 新幹線の中で明日の早朝で、という話だったのにな、と、思った。 「うん、いいよ。いこっか。」 殿はほっとしたような、でも、不安がまだある感じだった。