僕は殿を何とか自分のマンションへと向かわせた。


 途中、殿が


「なにか、書くものはないか?」


 と、鼻をグズグズさせて僕にたずねた。


「え、何に使うの?」


「さきほどの歌を、コトに送る。


書いたら、渡してきてくれ。」


 僕は使い走りの童ですか?


 てか、今はメールがあるんだけど!!


 じゃなくて、レイカにそんな歌送っても、


 あいつ、理工だから、たぶんチンプンカンプンだし。


 僕はめんどくさくなって、


「僕が代筆するよ。


殿、疲れてるでしょ?」


 と、提案した。


「いや、私は自分の筆でこの悲しみを表したいのじゃ。」


 ホラ、でた、殿様。


「殿、現代ではそんなことしないんだよ。


僕が現代風にメールしておくから。」


 殿は眉間にしわを寄せて、


「私のこの悲しみをしかと伝えるのだぞ?」


 と、風呂場に向かった。


 僕はさっきの歌を思い出しながらメールを作成する。







sub,いきなりごめん。


僕の月は


雲に隠れてしまった。


いつになったら、


君に会えるんだろう。








 僕は少し、殿の気持ちを考えて、


 おセンチになった。