怒り狂ったゴジラ…じゃなくて姉になんとか引き下がってもらい、


 僕も大急ぎで服を脱ぎすてて、風呂場に向かった。


 殿は突っ立っている。


「殿…なんで男になっちゃったの?」


 殿は鏡を覗き込んで、


「しかし、綺麗な鏡だな。


私の本来の姿はこれだ。」


 今度こそ、マキはどこへ?


「さっきな、まだ女の姿だった時に、


不思議な気持ちになって、自分で湯をかけてしまったんだ。」


 その調子で自分で体洗ってくださいよ。


「そして、元に戻った。」


 いや、だから、マキは!!??


 殿は早く体を洗えと言わんばかりに仁王立ちをしている。


「殿、髪の毛は洗うの?」


「あぁ、異世界に来てしまっているからな、


禊として、洗ってもらおうか。」


 僕が資料なんかで知っている貴族の体つきは


 下膨れのメタボってイメージだったけど、


 殿の体は全く違っていた。


 髪の毛は結うためか、肩下まであったけど、


 顔だって、シュッとした男前だ。


 体つきも僕よりだいぶしっかりしていて、


 背も高い。


 モテるわな、こりゃ。


「なんだ?これは、とてもいい香りがするな。


こんないい香はなかなか手に入らんだろう。」


「これ、シャンプーっていうんだよ。」


 僕は殿を一通り洗い、


 自分もチャチャッと洗った。


「あーいい湯だった。


タケルの母君に礼を言わなくては。」


 ああ!そうだった。母さん!!


 絶対、姉ちゃんがチクッてるからー、


 どどどど、どうしよう!!


 そんなとき、脱衣所から、声がした。


「ありー?


なんて私のパジャマがー?」


 ああ、母さんが、二番目の姉貴のパジャマを拝借したんだ!!