僕は携帯を取り出し、
マキと僕の共通の友人であるハヤトに電話した。
隣で、雪冬が「なんだ!それは!」と
騒いでいるのを無視して、コール音に耳を澄ます。
「あ、もしもし、ハヤト?
レイカいる?
うん、
うん。
ちょっと、聞きたいことあって。」
レイカは今トイレに行っているらしい。
「あ、戻ってきた?
ありがと。
レイカ?
マキのマンション知ってる?
え?ちげーよ。
そんなんじゃねーよ。」
レイカ、本当に違う。
「え、マキ最近引っ越した?
そっか、まだ行ってないんだ。
じゃ、詳しくわかんないわけね?
わかった。
ありがとう。
だーかーらー、
そんなんじゃないって!!
現に、ここにマキは…」
まずい。マキがここにいるのに、
マキのマンションを聞くなんて、おかしい!!
「いや、ちがう!
ここに、マキは、いない!!
そう、レポートで、
ちょっと、ね?」
大学生の言い訳ワードベスト3にはいる『レポート』
は、かなり、使える。
僕は、電話を切った。
絶対、勘違いしている。
僕がマキを訪ねるだけならまだいい。
さっきのニュアンスではまるで
僕がマキをつぶしちゃったみたいじゃないか!!
僕は狼じゃない!!

