数日立っても、味覚はいっこうに戻って来なかった。
むしろ、どんどんと分からなくなっている。
何かが欲しくて堪らない。
食べても食べても、続く欲求。
私は服の裾を握りしめる。
こんなに苦しいのに、欲しいものが、ここにはないような気がした。
「大丈夫、お姉ちゃん…」
飢えて眠れない夜が続いているせいか、レイシャが心配そうな顔をしている。
私は力無く微笑んだ。
『呪いのような祝福をお前にやろう』
不意に、脳裏で吸血鬼の言葉が蘇る。
あの、人ならざる者の氷の声。
呪い、祝福、そして去り際の予言めいた言葉が順に私へ呼び掛ける。
苦しくて、苦しくて、息が止まりそうだ。
気付けば、私は雪の中、外へと飛び出していた。



