「本当に館があるなんて…」 私は吹雪に埋もれかけた古い館を見上げた。 誰も行かない北の地に吸血鬼の館があるらしい、という話を聞いたことがあった。 だけど、本当にあるとは思わなかったのである。 嬉しいような困ったような複雑な気分だ。 「本当に吸血鬼がいるってこと?」 誰かが住んでいるようにも、誰も住んではいないようにも見える。 私は恐る恐る、城の扉を叩いた。