「そりゃ女の子のランドセルなんですから赤に決まってますよ」

舟本がそう答えた時、それまでじっとやり取りを聞いていた日野刑事の表情が変わった。

「それは確かですか、舟本さん」

身を乗り出すようにして、月見と舟本の会話に入ってきた。

「え、ええ」

舟本は戸惑った。

自分はランドセルの色を答えただけだ。

それが一体なんだというのだ?

「これを見て下さい」

月見が己の携帯をさし出した。

その画面にあったのは大手カバンメーカーのモバイル版ホームページ。

「このメーカーの主力商品はランドセルです。ラインナップを見て頂けますか」

舟本は首をかしげながら月見の言葉に従った。

しかし次の瞬間、彼は目を疑った。

定番の赤や黒のランドセルに混じって、ピンクや水色といったランドセルがあったからだった。

「3年ほど前から赤や黒以外の色が人気を集めているそうですよ。特に女の子には水色が人気で、売上の3割近くを占めてるそうです」