「それじゃあいくよ」


エフィア家のリビングのど真ん中にスペースを空け、アレンとルティとルルがそこに立つ。

二人の顔を交互に見て意思を確認したローレムは、対象に向け両手を掲げた。


部屋の隅に固まったイルやマケドニス、アンナやルルアンは黙ってその様子を見守る。



「《時渡り》」


エルフの男性の声が響いた途端、アレン達の足元が水色に光り出した。

浮かび上がった魔方陣は見たこともない形式のもの。


「気を付けて。あまり長居するとよくないから」

「はい。ありがとうございます」


頷いたアレンとルティ。

それに合わせるかのように、水色が一層輝きを増した。


イルやルルアンが「眩しい!」と騒ぐ中、アレンは移動魔法のときのような浮遊感を感じる。






「いってらっしゃい」



魔法が実行される、というときにアンナの優しい声。

アレンは振り返り彼女を見た。


ルルアンの手を握る女性は、頷き元気付けてくれる。



…そして、それを最後に目に残して。





──…二人と一匹は、過去に旅立っていった。