それからいくらか口論も落ち着いた二人。


彼らは辿り着いたでかい建物を見上げ、片方は目を丸くし片方は溜め息を着いていた。



「でっか…」


「……はあ」


ポカンと口を開けるハルアの横で、アレンはあからさまに憂鬱そう。


正直ここに頼るのは嫌だったが仕方がない。


騒がれませんように、そう祈りながらアレンは門番に近付いていった。



「っあ、ちょっと待ちなさいよ」


そう言って小走りについてくるハルア。


彼女をちらりと見てから、アレンは「お前も騒ぐなよ」と釘を刺しておいた。


「うるっさいわね」だとか膨れてる連れの相手もそこそこに更に近付くと、こちらに気付いた門番が怪訝そうに眺めてくる。



「誰だお前」


彼らの目の前まで行って対峙したアレンに、男二人は警戒心丸出しで問いかけてきた。


やっぱり顔は割れてないか、と嬉しかったアレン。

だが名乗らないと確実に入れてくれない。



知られたくない、

騒がれたくない、

…と更に落ち込みながらも、それを表には出さずアレンは爽やかな笑みを浮かべた。


隣でハルアがギョッとしていただとかそういうことは気付かないフリをしておく。