ポツポツポツ、と雨が降り始めた中、それに気付きもせずレイは箱を開けた。


白い箱の中にはまた白い箱が。



それを取って見たレイは固まる。





――…指輪入れ、だ。





それの蓋も開けると、やはり中には指輪が。



綺麗なダイヤモンドを輝かせ、その存在をレイに見せつける。





「『A.L』…」



――…アレン、レイ。




落とし物の正体を知り、レイは一気に涙ぐんだ。



雨と一緒に涙が落ちて、湿った地面に吸い込まれる。





「アレンっ…!」





少女の叫びは、彼には届かず。



震えながら泣く彼女に、手を差し出してくれる愛しい人はここにはいない。





マケドニスとルティが振り返り悲痛な表情で見守る中、レイは指輪を握りしめ泣き続けた。






優しい微笑みを向けてくれる彼を、ひたすらに想いながら――…