「《移動魔法》」 小瓶を直し、呟いたディルネは目を閉じた。 悪魔の魔力の光が強くなっていき、周りを円形に奇妙な形の文字が囲む。 「行け」 悪魔が命令すると同時に、その姿はその場から一瞬にして消え去った。 もちろん、もう一人の悪魔と人間の青年も一緒に。 北大陸のエルフの森。 そこでレヴィオル国勇者アレンは、悪魔に連れ去られ行方を眩ましてしまった。 それは彼が最も愛する、彼女の誕生日である日の出来事――…