荒い呼吸。 人ごみを避けるように走り続ける。 周りの雑音さえ耳に入らない忠義。 人にぶつかり転ぶ忠義。 「…空…。」 擦り剥いた傷から血が滲み出る。 腕をおさえ立ち上げる忠義。 「空。」 プツリとかろうじて繋がっていた頭の糸が切れる。 狂ったように空の名前を叫ぶ忠義。 集まってくる人々。 周りの人々の冷たい目。 そんな視線に気づくこともなく。 空の名前を叫ぶ忠義。