「バレたって何を…」

「大丈夫。七瀬先生のことじゃない」


涼子は間髪を入れず答えた。

それを聞いて、俺は安堵した。

よかった。

でもそのことじゃないのなら、一体何がバレたんだーー?


「この前藤木先生とホテルに行ったの」


そうだ。

そこまでは順調だったはずだ。

涼子が藤木先生を振り向かせれば、俺たちは幸せを手に入れられる。

そう信じていた。

しかし次に涼子が発した言葉は俺のわずかな願望を打ち消すようなものだった。


「その現場を斎藤に見られたの」


何かが崩れ落ちた。

俺の中で組み立てていたジグソーパズルがぱらぱらと姿を消していく。