どうやら私は、それから健人が出てくるまでの5分くらい、彼を見つめたまま微動だにしなかったみたいです。 その5分で、ゆっくりと確実に彼に落ちていった私を現実に引き戻したのは、 「おい、キモい。」 と言う健人の声と、同時に入ったお母さんからの着信でした。