梨花の瞳が揺れる。 「……巻き込まれても知らないから」 溜め息と共に億劫そうに立ち上がった。 なんだかんだでやっぱり梨花は優しい。 あたしは彼女に気付かれないようににやりと笑った。 あいかわらず女の子の怒声が途切れることなく続いている。 あたしたちは音をたてないようにじりじりとドアに近付いた。 「ちょっと覗くだけだからね。わかった?」 背後から小さく、しかし鋭い声が耳に飛んでくる。 あたしは振り返ることなく小さく頷く。