先に動いたのは梨花だった。 あたしの目から視線を外しドアに顔を向ける。 それを合図にあたしは腰をあげた。 「やめときなよ」 梨花が眉をひそめ忠告する。 その表情は彼女がよく見せる顔でまだ若いのにしわがついてしまいそうだ。 汗でくずれたファンデーションがその溝にうっすらとたまっているのがわかる。 「だって、本当にやばそうなら止めに行かないといけないし」 そう答えると梨花がさらに険しく表情を曇らせた。 それに合わせてあたしも顔を引き締める。