私が、後藤社長と――?


2人で食事なんて・・・





「あ、あの・・・っ」

勇気を振り絞った声は、上擦ってしまう。


同時に震えている、受話器を持つ手。




「ん…、なに――?」


優しい声色さえ、私には追い込まれているようだ。




「あの…、そう言った件は・・・その・・・

社長に・・確認しな・・ければ・・・その・・」


さっき以上に、しどろもどろな私。





後藤社長は・・・・


取引先の社長であり、社長とも親交のある方。




だけれど私は、平社員の秘書。



社長と会社にとって、不利益になる答えを・・・




“行きません”と、簡単に言えない――




やっぱり私は、無能秘書だよ。



断わり方が、分からない・・・・