“イヤ”だと、口にしてしまったトキ。


拓海から齎されるモノは、何なの――?



ブラウンの瞳が私をジッと、ただ見据えていて。


一糸纏わぬ状態では、心まで晒されている気がしてならない。



悟られてしまいそうで、怖くなるの・・・




「どうなんだ?」


「ッ…、あ、あの・・・」

上擦って、煮え切らない返答しか出来ない。



あれほど熱を帯びて、彼を受け入れる寸前だった身体。


それなのに…、今では背筋にツーと冷たいモノが走っている。



すっかり正気に戻ってしまった身体とは、正反対の内心。


ぐるぐると駆け巡る想いのせいで、鼓動の速さは収まらないけれど。




「蘭…、言ってくれ」


「っ――!」

思わずゴクンと、喉を鳴らしてしまった。


彼の声色と口調に、それほど驚かされたからで。



ダメだよ、拓海・・・



その瞳を投げ掛けられると、勘違いしてしまいそう。


願うコトや請うコトさえ、権利などナイ私に対して。



どうして貴方が、下手に出てくるの・・・?