廊下で、先輩とすれ違った。 あの時、あたしの心臓は確かに、大きく高鳴っていた。 先輩は何もあたしに話しかけてこなかった。 あたしも、先輩に声をかけなかった。 ただ、他人のようにすれ違った。 ・・・そう、他人のように。 あんなことがあった後だから。 当たり前なんだってことは、頭では分かってる。 ・・・でも。淋しい。 先輩が、話しかけてくれないことが。 先輩にとってあたしはもう、用済みの 駒だってことが。