「あのさ、俺、東京に就職しようと思ってんだ。」

大志が緊張した面持ちで、口を開いた。

「へぇ。」

上手く反応できない。
大志は、何が言いたいの?

「でさ、若菜はどうするのかな、と思って。」

「就職するよ?」

「ここで?」

「うーん……そうだね。」

地方都市の私の地元は、意外と就職先は多い。

「若菜……。」

「何?」

大志は私の名前を呼んで、黙り込んでしまった。
私もあえては喋らない。

「若菜、東京来ない?」

「……行かない。」

何でだろう。
別に、地元にずっといたいわけじゃない。東京が嫌なわけでもない。

だけど、大志について行くってのは、なんか違う気がする。

「そっか……。」

大志は寂しそうに笑った。


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