仕事が終わって家に帰ると、莉緒が夕食の準備をしていた

「莉緒、男のメンバーが一人決まったぞ
海堂彰吾だ
あとの男メンバーは彰吾が集めてくれるらしい
あと日程も、マネから聞いておいた
来週の木曜なら空いてるって」

「わかった
春ちゃんに連絡しておくね」

莉緒がにっこりとほほ笑んだ

「でも海堂さん、平気なの?
紫音さんと恋人同士じゃ……」

「紫音にも了解は得ているよ
…たく俺には友達がいねえから、行ってやるとか言いやがって」

俺はソファに座ると、不満も漏らした

「え? 桜嗣って友達いないの?」

「莉緒まで……言うなよ」

俺はがっくりと肩を落とした

「ごめん。
だって意外なんだもん
モデル仲間とかたくさんいそうじゃない?」

「仲間はいる…が友達と呼べるヤツはいない
下手にツルんで、マスコミに情報を売られるもの嫌だしな
モデルは笑顔の裏に何を考えているんだか、よくわからねえ
他人を蹴落として、上にのし上がろうと目論んでいるヤツが多すぎて
信用できねえな」

「厳しい世界だもんね」

「ああ」

厳しいとは思わねえけど
薄汚ねー世界だとは思うよ

腹黒い人間が多すぎる

その分、影の努力を必死にやっているヤツも多いが

腹黒い人間は好きじゃねえから

紫音みたいに裏表のない人間のほうが付き合いやすい