「あのぉ、薬指の指輪って…もしかして?」

後ろのほうに立っていた記者が質問を投げてきた

俺はシルバーの指輪を記者に見せつけた

「ええ、結婚指輪です」

「え? いつ入籍を?」

「ついさっきです」

「お相手はずっと片思いしていた…という?」

さすが
俺が事務所を通して圧力をかえてもらったおかげで莉緒の名前は出してこない

ここで莉緒の名が出るようなら、すぐに会見は終わりにして帰ろうと思ったが…

「はい。彼女のとの出逢いなどは全て本を書いてあるとおりですから
しっかり読んで明日のワイドショーで流してくださいよ」

俺は笑い声をたてた

記者の何人かも、苦笑している

ほんと
会見でめんどくせぇ

「お子さんの予定は?」

男性の記者が口を開いた

「妻は現在妊娠3か月です」

「ええ?」

記者たちの驚きの声をあげる
嘘くさい悲鳴だ

どうせ明日のトップニュースに使えるとか
心の中でニヤついているくせに

面倒くさいヤツらだ