『ケンゴ…お前が寝てた分の数学と生物は0点決まりだな』

先生は呆れた様子だった。

『えっ…そんなぁ〜。あ〜あ、寝過ぎちゃったな…でもあの変な声は何だったんだろう!?』

ケンゴがあの声の事を考えていると、トモヤが近づいて来た。

『なあ、早く大穴見に行こうよ』

トモヤは目を輝かしていた。

『ちょっと待ってて』

ケンゴはポケットから携帯電話を取り出し、タツキに電話をかけた。

『ああ、タツキ!?悪いんだけどリュウトと二人で帰ってて。俺これからトモヤと約束があるんだ、悪いな』

ケンゴは電話を切り、ポケットにしまい席を立ち上がった。

『さあー、さっさと行くぞトモヤ』

『ケンゴありがとう』

ケンゴとトモヤは学校を出て、大穴のある山へと歩き出した。

山のふもとまでやってくると、大勢の人がいた。

『えー、凄い人じゃんか…俺人ゴミ嫌いだし、やっぱ帰ろうよトモヤ』

ケンゴは大勢の人にうんざりしていたが、トモヤはケンゴのその言葉を無視し、さっさと大穴へと歩き出した。

『…ったく』

ケンゴは仕方なくトモヤの後に着いて行った。

『ケンゴ!!すげーよ、この大穴!!』

トモヤは大穴にたどり着き、はしゃいでいた。

『おい、トモヤ近寄りすぎだぞ。危ないぞ』

ケンゴはトモヤの服を引っ張った。

ゴロゴロスドォーン!!

すると突然物凄い雷がなり、辺り一面に雷光が走った。

ケンゴは目がくらみ、目を閉じていたが、しばらくして目を開けた。

すると、さっきまでいた大勢の人たちの姿がなかった。

『ト、トモヤ…いつの間にみんないなくなったんだ?』

ケンゴは辺りをキョロキョロ見回してトモヤに尋ねたが、トモヤは黙って大穴の底を見つめていた。