『いた』












あたしの視界は
急に真っ暗になった












聞き覚えのない
声と一緒に












誰かに抱きしめ
られている












そう気づくのに
少し時間がかかった












でもその人は
あたしを抱きしめるには
余りにも華奢で
小さかった












その人はあたしを
優しく撫でた












『ごめんね』












身体を離すと
あたしの前に
しゃがみこんで
そう言った












あたしは黙って
首を横に振った












ユキさんだった












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