『いた』 あたしの視界は 急に真っ暗になった 聞き覚えのない 声と一緒に 誰かに抱きしめ られている そう気づくのに 少し時間がかかった でもその人は あたしを抱きしめるには 余りにも華奢で 小さかった その人はあたしを 優しく撫でた 『ごめんね』 身体を離すと あたしの前に しゃがみこんで そう言った あたしは黙って 首を横に振った ユキさんだった .