「ほら、おっさんもそう言ってんじゃねーか。教えてくれたら協力してやるぜ?」
ニヤニヤして俺を見つめている金髪と、気にしていない素振りを見せつつミラー越しに俺の様子を楽しんでいる山岸。
冷やかされるのに慣れていない俺は、グッと歯を食いしばった。
「…………だ」
「え?」
「……あんな奴、大嫌いだ」
口から零れた言葉は、紛れもなく本音で。
俺の言葉に意表を突かれたのか、金髪は目を大きく見開いた。
揺れている瞳から、戸惑いが感じ取れる。
「坊ちゃま……?」
信号が赤に変わり、静まり返った車内で、不安げな山岸の声だけが響いた。
その声が、聞こえなかったフリをして……
俺は家に着くまで、無言で窓の外の景色を睨みつけていた。
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