「なーんだ、違ったのか」
金髪は唇を尖らせて、再び助手席に体を埋(うず)めた。
「……何が、“違う”んだよ」
違った、という言葉が気にかかって、少しだけ助手席からはみ出た奴の頭を睨みつけながら、そう尋ねる。
「いや、ずっと窓の外見てたから、好きな奴のことでも目で追ってんのかなーと」
「……………」
「……あれ?坊ちゃん?」
な、なんだよ……
なんだよそれ!
「バ、バッカじゃねーの!?
誰があんな……!!」
――――――――はっ。
「あんな……何?」
恐る恐る俯いていた顔を上げると……
ニタリ。
そんな効果音が聞こえてきそうな表情。
(ヤベェ、墓穴掘った……)
そう思ったが、時すでに遅し。
「やっぱいるんじゃねーか!」
「いないっつってんだろ!」
「白状しろよー!
俺は見逃さなかったぜ?
口滑らせた時に「ヤバい」って顔したの。
心当たりあるんだろ!?」
「っ。山岸、お前からも何とか……」
「良いじゃないですか。
恋は人を成長させるのですよ?」
山岸―――――――!!!
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