「ちっ。どいつもこいつも…」
使えない奴ばかりだ。
俺は苛立ちを隠せず、机を蹴り飛ばした。
ここ、有栖(ありす)学園は、日本一優秀といわれるエリート校。
それなのに生徒は愚か、教師もくだらない奴ばかり。
エリートが、聞いて呆れる。
教師に至っては、俺に面倒な仕事を押しつけて、自分は楽をしようとする。
そんな奴が教師になれるんじゃあ、世も末だな。
俺は小さくため息を吐き出して、目の前の書類を睨みつけた。
無造作に置かれた、体育祭の資料。
書いた奴は余程面倒だったらしく、本人にしか読めないような雑な文字が、延々と並んでいる。
俺がいない内にこんなものを置いていくなんて、良い度胸だ。
グシャリ。
俺はその書類を握りつぶし、ゴミ箱に放り投げた。
カラン、と乾いた音を立てて、その物体は視界から消えた。
それと、ほぼ同時に。
ドアをノックする無機質な音が、広い生徒会室に響いた。
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