「……なんだよ」
その視線に耐えきれず、奴に言葉を投げかける。
絞り出したその声は、自分でも驚くくらい低かった。
だがそんな俺の態度をものともせず、金髪はニコリとその整った顔に笑みを浮かべる。
「……何か?」
「お前こそ何なんだよ、さっきから人の顔ジロジロ見やがって」
なんかコイツ、ムカつく。
何考えてんのか、全然わかんねー。
専属執事とか言ってるが、俺にはこんな得体の知れない奴と上手くやっていく自信は皆無だ。
「話は大体わかった。
疲れたから、もう寝る」
「あ、やっべ、アニメ終わっちまう!」
俺が部屋に足を踏み入れたのと、金髪が叫んだのは同時だった。
……テレビ番組ってのはどれもこれも一時間だと思っていたが、そうじゃないのか。
金髪とぶつかった時間からあまり進んでいない時計の長針に目をやり、俺は部屋のドアを閉めた。
……ようやく訪れた静寂。
俺が唯一、一人になれる場所。
広すぎるベッドに体を横たえ、目を瞑る。
今日起きた様々な出来事が、脳裏に浮かぶ。
そうこうしている内に、本当に眠気が襲ってきて……
俺は、いつの間にか、意識を手放していた。
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