……こーゆーのを、“雷が落ちた”と言うのだろうか。
俺の目の前には、奇妙な光景が広がっている。
辺り構わず怒鳴り散らす山岸と、それを怠そうに聞いている金髪。
この状態になって、すでに五分は経った。
金髪が見たがっていた“アニメ”とやらは、もう始まってしまっただろう。
「廊下は走ってはいけないと学校で教わらなかったのか!?
今年でもう二十歳になるというのに、情けない……
挙げ句の果てに主人にぶつかって謝りもしないとは何事だ!
アニメなんかよりそっちの方がよっぽど重要だろうが!!
怪我なんてさせてみろ、即辞めてもらうからな!!」
……とまぁこんな感じで、マシンガントークを繰り広げる山岸。
今日だけで、一年分くらい喋っているような気がする。
にしても、本当にこの男は何者だ?
顔も見たことがないし、名前もさっき初めて聞いた。
山岸の親戚だろうか?
だとしても、何故こんな所に………
「とにかく!
今すぐ唯斗坊ちゃまに謝りなさい!!」
山岸の説教が、一段落したらしい。
金髪の服の襟を掴んで、無理やり俺の方を向かせる。
……一体彼のどこに、金髪を持ち上げる力が眠っているのだろう。
そんなことを考えながら、金髪の焦げ茶色の瞳を見つめた。
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