「ってぇ!!」 顔面を床に直撃…… ということにはならなかった。 ………かろうじて。 しかし、顔を庇うためにとっさに出した左腕がひどく痛む。 なんとか立ち上がると、山岸の様子がおかしいことに気付いた。 普段は穏やかそうな顔が、真っ赤に染まっていて。 握りしめた拳は、プルプルと震えている。 (…………なんだ?) 俺が異変に気付くのと、 「圭史郎――――――っ!!!!」 山岸がそう叫ぶのは、ほぼ同時だった。 .