「なんだ、これは。
最初からやり直せ」
俺は目の前にあった書類を乱暴に床に叩きつけた。
「は、はい!!
申し訳ございません!!」
書類を持ってきた男が、慌てて散らばったそれを拾いにかかる。
見覚えのある顔……
確か同じクラスの奴、だったか。
手伝うこともせずに、そんなことを思う。
最も、こいつの存在なんて俺にとってはどうでも良いことだ。
使えない奴は、いてもいなくても同じ。
使える人間か、使えない人間か。
俺の判断基準は、それ以外の何物でもない。
「明日までに、作り直してこい。
今度そんなくだらないものを持ってきたらどうなるか……わかってるな?」
わざと、“退学”の二文字を匂わせる。
瞬間、奴の顔はみるみる内に真っ青に染まっていく。
「は、はぃ……」
蚊の鳴くような声で返事をすると、奴は重たい足取りで部屋を出ていった。
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