「んだよ、それ」


関係ないなら、最初から言わなければいい。






―――――今思えば、あの言葉は奴なりの、SOSだったのかもしれない。

あの投げやりな言葉とは裏腹に、誰かが出口のない暗闇に救いの手を差し伸べてくれることを、望んでいたのかもしれない。

こんなどうしようもない俺にすら、すがりたいと思うほど……


どうしようもなく、辛かったのかもしれない。




それなのに、俺は………


「お前みてぇな奴に関わるなんざ、こっちから願い下げだ。
 悲劇のヒーローぶってんじゃねぇよ」


吐き捨てるように、そう言って。

奴の僅かな希望さえも、この手で消し去ってしまった。




「……………………」


俺をじっと見つめていた黒沢の瞳が、ふいに逸らされ。

おもむろに口を開くと、独り言のように、













「……お前は、あいつとは全然違う」




そう、呟いた。




.