握り締めた拳を、机に叩きつけた。
ピカピカに磨き上げられたデスクに映る、俺の顔。
昨日まで一点の曇りもなかったその表情が、今日は酷く歪んで見える。
奴のことを、考えれば考えるほど……
何故か、惨めな気持ちになる自分がいた。
気分転換に外の空気を吸おうと、立ち上がった、その時。
―――――――コンコン。
昨日よりも少し強めに、ドアを叩く音。
“アイツ”に、間違いない。
「入れ」
言うと同時か、それよりも早く。
ドアが開いて、奴が姿を現した。
「生徒会室に行くように言われたんだが、ここで合っているのか?」
俺の前まで足早にやってくると、淡々とした口調で尋ねてくる。
あまりにも、無機質な表情に加えて。
さっき外で会ったことを忘れてるんじゃないかと思うくらい、そっけない態度。
「………あぁ」
最低限の返事だけして、俺は奴に名刺を放り投げた。
そこに書いてあるのは、名前と、“榊財閥”の文字のみ。
至って、シンプルな名刺だ。
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