一日の勤務を終え
寄り道もせず、一人暮らしの家に帰ったあたしは

真っ先にやかんへ火をつけ
テーブルに置いてあるクッキーの空き缶を開けた。


そこに納まった3通のハガキ。

もとい、star letter。


あたしは今日届いたハガキをテーブルに置き
それと同時に、空き缶に詰められた方のハガキを取り出す。


そして一枚目は今日の分の上に重ね
二通目のstar letterを手に取った。




――月明かりが美しい、夏の星座が僕は一番好きです。



…僕、ねぇ。


ふう、と息を吐き出し
続いて3通目に視線を向ける。




――強いて言うならあなたは、どの季節の星座が好きですか?




「…そんな事聞かれても、返事のしようがないっつーの。」


パサっとハガキをテーブルに置いて
あたしは帰って来た服装のまま、絨毯へと寝転がった。



そしてぼんやりとした思考の中で
一人、呟いてみる。


「あなたは…誰、なの?」


なんて、無機質な天井に尋ねても
返事など返って来るはずもなく。


ピー!っとけたたましい音を鳴らし
沸騰したと知らせるやかんに、重たい体を渋々起こして

台所へと向かった。