澄み渡る空気に
よく響く彼方の声。
“織葉”
彼方にそう呼ばれると
あたしの心はぎゅっと縮まって
体が金縛りに合ったみたいに動けなくなる。
こんな時に限って
どうして名前で呼ぶのだろう。
いつもは
“オリ”って呼ぶくせに
何で―――。
歩みを止めたあたしは
溢れ出そうな涙を堪え、ゆっくりと振り返る。
ぶつかった彼方の切ない視線が、視界を徐々に滲ませた。
「織葉、」
彼方が、あたしを呼ぶ。
近づいてゆく距離が、涙腺を崩壊して。
「…織葉。」
もう一度呼ばれた時
頬を流れた涙は、彼方の姿を完全に見えなくさせた。
「…泣くなって。」
「彼方が…いけないんでしょ…っ、」
「…何が?」
「だって…、」
いつもより優しい声が
心のずっと奥に、染み込んでゆく。
あたしは一度深呼吸をすると、濡れた瞳を彼方に投げて言った。
「star letterの差出人は…
彼方、だよね…?」

