「アリス? アリス?」

オレは必死にアリスに声をかけた。

―ガララ―

「あら? カズさん? どうなさったんですの?」

アリスに声をかけることに必死だったオレは、美亜さんが脱衣場に入っていることに気付

かなかった。

「カズさん……あなた……可愛い顔をして実は悪魔だったのですね!!」

「え?」

―バコーン!!―

「痛ってえ!」

突然美亜さんが入ってきたかと思ったら、いきなりおもちゃの……なんだっけ? 

ほら、突っ込みの時に使うハンマーの形をしたやつ。あれでいきなり頭を叩かれたんだ。

オレ今日は叩かれてばっかだな。

美亜さんはそのハンマーみたいなのをポケットにしまって、倒れているアリスを見た。

「あら?」

美亜さんはアリスを見て目が点になった。

「気絶しているじゃありませんか!! まさかカズさんが襲ったんじゃ……」

「ちっ違う違う! オレが入ろうとしたら、いきなり倒れる音がして……」

オレは必死に否定した。

美亜さんは、

「そんなことより、まずアリスさんに服を着せましょう」

と言って棚に入っていたパジャマをアリスに着せようとした。

オレは慌てて脱衣場から出た。何故かって? よく考えてごらん。アリスはお風呂中に倒

れた=服を着ていない=裸。あん時は必死でそんなこと考えてなかったけど、今さっき考

えた。アリス、色白かったなあ……。

ハッ! オレは何を考えてるんだ!!

よし、まずはディアに知らせよう。

オレはディアの部屋に向かった。

―コンコン―

そしてディアの部屋のドアをノックした。

「はあい」

「あっオレだけど」

―カチャ―

オレが返事をして間もなく、ディアは髪を横でおだんごに結びながら出てきた。

「どうしたの?」

オレは何となく話しづらかった。

「いや、アリスがね?」

「私のアリスがどうしたの?」

なんか私の付けてるし……。