そんな俺の様子を見て、シンゴは立ち上がる。


「あったり~。ヒロくんてばもうわかりやすいから~」


うりうり、と俺の二の腕をツンツンしてくる。


「うざい。きもい。」


こんなこと言っても、もう主導権はシンゴ。



「行かんくていいの?たぶんミチちゃん告られてるよ」


「は?」


「男と裏庭のほう行ったし」


「……っ、それを早く言え!」

俺は立ち上がると走り出した。



「焦っちゃって。ヒロくんてばかーわいっ」


なんて、シンゴが言ってるのにも気付かずに。




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裏庭に着くと、確かにいる。


ミチと、知らん男。


そして話が終わったのか、ミチが俺のいるほうに歩いてきた。


男の様子を見て、ミチはたぶんまたフッたんやろうなと思う。


俺は、座り込む自分の隣をミチが通るのを見計らって


ミチの腕を引いた。


「キャッ!!」


ミチの、感触。


なんど抱き締めても、俺の心臓は慣れてくれない。


なぁ、ミチ。


俺がもし、お前の兄じゃなかったら


お前は俺を「男」として意識してくれた?


俺はもう、お前に手を出してしまって「兄」にもなれなくなったから


「男」としてそばにいるしか、できないんだ……



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