「みっちゃん、ほんまにサボんの?」


「んー、めんどくさいし」


「もう、ヒロさんの晴れ舞台やで?!」


……奴も、真面目に出席するとは思えんけど。


「別にいいよ。家帰ってから会えるし」


「もうっ!」


マナはまだ怒ってたけど、あたしは手を振ってその場を去った。



……今日は、卒業式。


つまり、兄ちゃんがこの学校を去る日。


ちょっと寂しくなるけど、どうせ家に帰ったらいるし。


…それに、左手の薬指にも約束の指輪がある。


ただ、同じ高校に行かない。


それだけのこと。



あたしは屋上のドアを開けると、綺麗な青空の下で思い切り背伸びした。


「気持ちいー!」


「ミチが言うとなんかエロいな」


「?!?!」


なに?!


声のしたほうを見ると、


意地悪に笑う兄ちゃんがいた。


一人しかいーひんと思ったのに!


「なんでいんの?!卒業式は?!」


「俺がマジメに出ると思う?」


……ううん、まったく思ってなかったけど。


「相変わらず不良やな」


「アホか。めっちゃマジメじゃ」


兄ちゃんはゆっくり歩いてあたしの隣に来た。



*