新学期が始まった。


「ミチ、彼氏できたん?!」


アイのデカすぎる声に、クラス中の目があたしに向く。


「ちょ、声大きいって……」


「別に声小さくても一緒やって。みんなあんたに憧れて、気になってるんやから」


んー、それってあたしじゃなくてあたしの兄ちゃんが原因なのでは?


「そんなことより、なんであたしに彼氏できたと思ったん?」


「何言ってんの。左手の薬指に指輪つけといて。」


「うっ……」


バレたらあかんからつけていかんとこかなって思ったんやけど……


嬉しいんやもん。


兄ちゃんも、つけてるんかな?


昨日学校から帰ってきた時はつけてたから、たぶん学校でもつけてるんやろう。


……あかん


顔の筋肉めっちゃ緩い。


「それにな」


アイが、続ける。


「ミチ、前は今ほど表情多くなかったもん」


「え……?」


「前は告白されても、まるで他人事みたいな顔してた。やけど、昨日新学期早々告白されてたやん?」


う……、なぜそれを……


「その時、ほんまに申し訳なさそうにしてたし。あぁ、恋の痛み、ちゃんとわかるようになったんやな。って」


「……あたし、前そんなに冷たかった?」


「うん、可愛い顔した鬼やと思ったな。」


「………」



*