あの海に行った日から1か月。


夏休みも終盤、あと10日ほどでまた学校が始まる。


宿題やらなきゃなぁ、なんて思いながら、リビングでゴロゴロしてた。


すると、2階から階段を下りてくる足音が聞こえた。


兄ちゃん、起きたんかな……?


そう思ったのに、リビングに顔を出した兄ちゃんは


「あ、ミチ、起きてたんや」


「うん……」


私服で、髪型も決まって手。


なんか、めっちゃオシャレしてない……?


「どこ行くの?」


あたしが聞くと、兄ちゃんは鏡で髪型をチェックしながら


全然あたしを見ずに言った。


「あー、ちょっと。」


ちょっと?


こ、答えになってないし……!


「帰ってくる?」


あたしの声は少し震えてて


兄ちゃんは泣きそうなあたしを困った顔で見た。


「……ごめん」


え……?


あたしの頭を撫でると、兄ちゃんはリビングを出た。


兄ちゃん


ごめんって何…?


「待って、兄ちゃん!」


急いでリビングを出ると、兄ちゃんは玄関で靴を履いていた。


「兄ちゃん、どこ行くの?!あたし置いてどこ行くの?!」


「………」


「兄ちゃん!」


兄ちゃんは、あたしを無視して


家を出て行った。


なんで……?!


急激に、あたしの胸を不安が襲う。


あたし、もしかして


兄ちゃんに


捨てられた……?



*